2013年 02月 21日
相変わらず IQテストを受けるべきか否かで、いろいろ調べてますけど、ここ10年ほどでドイツでのギフティッドを取り巻く環境もかなり整備されたものになったのは確かなようです。 ヘッセン州にあるマールブルグ大学ではその名も BRAIN ( BeRAtung und INformation uber besondere Begabung ) という、1999年に設立されたギフティッドの研究機関があり、ギフティッドについての社会の認知度をあげるために各種の情報を提供してます。 もちろん、ギフティッドであるかどうかを判断するためのテストの実施やカウンセリング、また学校や教師との連携もはかるというようなことを州の予算をつけて行っています。 ギフティッドという言葉の響きから、 「要するにエリート養成なんでしょ?」 など誤解されてしまうことも多いようですが、そういう正しい知識を伴わない偏見や憶測なくし、ギフティッド環境を整えて社会的認知度を高めて行くことを目標としています。 であるならば当然、ギフティッド認定用のテストおよびカウンセリングでも、なるたけ環境を整えてテストを受ける子どもが能力を発揮できるようにすることが、ひいては自分たちの研究例を増やして絶対数が増え社会の認知度も高まる、となる回路は理解できます。 しかし一方学校、教育機関側にとっては、ギフティッドと認定された子どもが増えるということは、それに適した教育の提供を増やさなければならなくなり、つまり先生を別につけるとか、別なプログラムを用意するとか、州としてもあらたな「予算」の必要が出て来るわけで、全て手放して奨励できるわけでもない。 そのあたりが、先日書いたような、ある子どもの IQテスト の値が、上記の BRAIN では145だったのに、別の機関では105になってしまったという極端な例が生じるわけでしょうね。 だいたい、その人の持っている知能を IQテストだけで計ることはもちろん不可能、実はそこに、ギフティッド判断の難しい部分があるんでしょうね。 ましてや子ども相手のこと、不確定要素はさらに高くなるわけで、どの機関でテストを受けるかということを考える場合、学校や教育監督庁などの公的機関が勧めるカウンセラーや医療機関が、どちらかといえば過小評価したい、つまり 「むやみに認定したくない!」 という姿勢も持っている点を認識するのも必要でしょう。 教育専門、特にこのギフティッドに関するアドバイスを行っている私立のコンサルタント機関のウェブサイトを見ていたら、あるところで受けた IQテストが高いことに納得しなかった学校および監督官庁側が、その子どもに何度もテストを受けさせ、結果として子どもの集中度もモチベーションも下がり、数値が下がるということがままあった、とありました。 現在の州の規定ではいちおう、認定を受けきちんとしたものであれば、たとえ私立のカウンセリング機関であっても、そこで受けた IQ テストの数値は有効でありそれを学校側も認めなければならない、というようになりつつあるようです。 ここ1ヶ月くらい、やみくもにドイツおよび英語圏のギフティッド事情を調べていた私ですが、やっと、ドイツでのギフティッド事情の「現実」に少し近づきました。
by dksh_okys
| 2013-02-21 13:00
| ギフテッド診断まで
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